「げ」
「おや、どうしましたか?」
「毛玉ができた。肩にカバンかけてっからどうしてもすれてできちまうんだよなぁ」
「ああ本当ですね。ちゃんと手入れをしてますか?」
「は?手入れ?」
「…しませんか?」
「しませんが。つーか、お前してんの?」
「――ええまぁ一応」
「うわ、お前ってつくづく同い年とは思えねぇ。あーでも確かにお前が着てる服に毛玉とか、あったら駄目だな。似合わん」
「毛玉に似合う似合わないがあるんですか」
「俺にあってもハルヒは気にも留めないだろうがお前にあったらちょっと驚く。というか俺が驚く」
「手入れと言ってもブラシかけてるだけですが」
「え、そんだけで毛玉できねぇの?」
「多少は」
「マジで?」
「犬猫の毛と同じですよ。毛づくろいしなければ毛玉できるでしょう?」
「ああできる」
「長毛種は毛玉ができてしまったら絡んだ毛を解くのは不可能なので、いちいち切って取らなきゃならないんだそうです。だから毛玉ができないようにまめなブラッシングが欠かせないそうです。ニットの毛玉も、繊維が擦れて絡んで結果毛玉になるわけですから、その絡んだものを着用後にリセットしておいたら毛玉ができにくくなるのは当然というわけです」
「なるほどな。ということは、できてしまった俺のニットの毛玉はもう毛玉取り機に世話になるしかない、と」
「そういうことですね。……引っ張って取ったりしたら糸が荒れますよ」
「……わかってる」
「今、やろうとしましたね?」
「……毛玉を見たら毟り取りたくなるのが人の心理というものだろう」
「同感ですが同意はしかねます」
「わかってるよ!」
・・・・・
拍手押してくださった方々ありがとうございます。感謝感謝。
テキスト扱いできる文は少ないですが何だかんだで今年も結構古キョン書いたと思うんですがどうでしょうか。現在立派な風邪っぴきで結構あれな状態ですが今年最後の〆をすべく布団から這い出ててきました。毛玉話だけども。
今年一年バタフライ効果にお付き合いありがとうございました。皆様よいお年を!
良くも悪くも自覚もないままに、変化する。それは目に見えたり見えなかったり。
回りくどいな、と俺は思ってベッドにどさりと倒れた。
と同時に、握っていた携帯電話を枕の脇に投げ捨てる。
「はは、バカだろバカだな、バカすぎる」
馬鹿の三段活用。
投げ捨てた携帯電話に向かって自嘲と罵声を吐き、自分に向かって悪態をつく。
数十分前に届いたメールの中身は嫌に回りくどく連なった文章で、そして丁寧かつ、無駄の多い装飾に彩られた内容だった。
投げ捨てた携帯電話を再び掴むと、俺は打ちかけの返事のメールの内容を消去した。
ちまちま打って、気づけば長くなった内容も、クリアを長押しすれば一瞬でさようならだ。
「バーカバーカバーカ」
メールの内容を消し終えると二つ折りの携帯電話を閉じてまた放り投げる。
電話をかける気はさらさらない。
俺は一瞬にして悟ってしまった。
長文を解読して、返信を打っているときに。
つられて俺まで長文になりかけたときに。
人と関わるということは、影響を受けるということだ。
良くも悪くも自覚もないままに、変化する。それは目に見えたり見えなかったり。
そしてさっき、目に見える形で受けた影響が見えて俺はげんなりした。
俺のメールの内容がとある相手限定で嫌に長ったらしくなること。
ああなんて忌まわしい。
返信?
「知るかそんなもの。俺はもう寝る」
誰に聞かせるわけでもなく言って俺は毛布の中に潜り込んだ。
・・・・・・・・・・
仕草・口調・嗜好・思考が知らず知らず似てくる、無意識に相手に合わせるのは好意の表れである。
お久しぶりです。もう師走ですって。びっくりする。
メルフォよりメッセージありがとうございます。以下返信です。
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